1954年 「ゴジラ」現る
東宝・宝塚歌劇

もう一つ1954年には、東宝が世界に誇る特撮怪獣映画の第1作『ゴジラ』が公開された。特撮技術をフルに活かし、演技者が着ぐるみに入って演じる手法は、後の特撮映画やテレビ特撮番組の主流となる。アメリカでは1956年『怪獣王ゴジラ(Godzilla, King of the Monsters!)』として、初めてメジャー系の配給網に乗せられ、全米で公開される記念すべき作品となった。以降、数々の特撮映画が海外に進出する口開けとなる。
こうしたゴジラは全く初めてのアイディアから生まれた特撮怪獣映画であり、作品の構想自体に本より小林一三が関与した訳ではない。しかし第1作のヒットを受けて直ぐに第2作『ゴジラの逆襲』の製作が決定し、翌1955年に公開される。前作では東京で暴れたゴジラが、今度は大阪に現れる。このゴジラのシリーズ化に、最終的にゴーサインを出したのは社長の一三であろう。一三の同年の日記には、大阪梅田の北野劇場で映画「ゴジラの逆襲」を観たとある。一三はゴジラ・シリーズの生みの親と言ってよいかも知れない。こうしてゴジラは、現在まで続く東宝のオリジナル・キャラクターとして世界的な人気を得ることとなった。