1936年 映画ファン誌『エスエス』の発行
東宝・宝塚歌劇

東宝は事業の拡大に沿って、演劇や映画の華やかな世界を映し出す雑誌を次々に創刊した。人々の演劇・映画への憧れや興味を満たして、東宝独自のファンを生み出すとともに、演劇・映画ファンの裾野を広げた。
先ず1934年、東京宝塚劇場のオープンとともに創刊したのが月刊誌『東宝』。宝塚少女歌劇の情報や演劇評論を満載した。そして東宝映画(株)創立の翌年、1938年に創刊した月刊誌『東宝映画』では、撮影レポートやスターの情報、映画紹介で誌面を構成した。
さらにもう一つ、洒脱な雑誌が現れる。東宝映画配給(株)の創立に合わせ、1936年に創刊したのが月刊誌『エスエス』。これは何のSSかというと、STAGE & SCREENのSとS、つまり演劇・映画のファンに向けたエンターテインメント総合情報誌なのである。当時の広告に曰く「映画・レヴユウ・小説を満載して娯楽街のまん中から飛び立つ軽爆のやうなスマアトな雑誌」。自社映画やレビューの記事のみならず、洋画のグラビアやハリウッド情報、映画評論などにページ割いた。小林一三もたびたび健筆を振るい、文化人の座談会や小説なども散りばめて、幅広く演劇・映画への興味を網羅した。
一方『東宝』誌は、演劇研究雑誌に編集方針を改めた。以降、独自な演劇雑誌となって芸能文化の進展に貢献した。