1934年 『花詩集』で記念公演

東宝・宝塚歌劇
1934年 東京宝塚劇場、コケラ落とし公演『花詩集』

 1933年、新劇場の開場に備えて新しく星組を編成する。年末には、こけら落しの正月興行に出演する月組の生徒150名が、東京駅の歩廊に現れて花束に埋もれた。
 そして1934年、東京宝塚劇場が開場した。記念すべき初公演は、前年に宝塚大劇場で好評を得た白井鐵造のレビュー『花詩集』が幕開けを飾る。演目は
  舞踊『宝三番叟』(久松一声・水田茂作、須藤五郎作曲)
  オペレット『巴里のアパッシュ』(中西武夫・荒尾静一作、上野勝教作曲)
  歌劇『紅梅殿』(久松一声作・須藤五郎、河崎一朗作曲)
  レビュー『花詩集』(白井鐡造作・須藤五郎・河崎一朗作曲)
天津乙女・小夜福子・雲野かよ子らが、ホームグラウンドを踏む心やすさで、十二分に踊り、舞い、歌って、舞台に華々しい限りを尽くした。
 東京でも珍らしいオープンな劇場スタイルは、表通りからガラス張りで真赤な絨氈を敷きつめたロビーが見える。入口で歌劇団や劇場の関係者が丁寧に挨拶する中を、キビキビとした座席案内人が活躍し、東京のお客様も初めて宝塚で見るのと同じ気分で、公演を楽しむことができた。
 宝塚少女歌劇の公演は、1月~2月の『花詩集』、6月・8月の『トウランドット』、9月の『憂愁夫人』などが大当り。同年は9か月公演だったが、1935年には12か月公演となり、東京宝塚劇場は当初の年6回公演計画を上まわる、宝塚少女歌劇の常打ち劇場として美事に成功を収めた。