1934年 「朗らかに 清く 正しく 美しく」

東宝・宝塚歌劇
1934年頃 東京宝塚劇場開場当時の小林一三。

 1934年の東京宝塚劇場の開場を記念して『宝塚少女歌劇二十年史』(同年再販)に掲げられたのが、小林一三による「初夢有楽町(ハツユメ アミユヅメントセンター)」と題された一篇の詩。

昭和九年一月一日!
大東京市の中央
日比谷公園に相対して
新しく生まれるべき名所──それは
日比谷アミユーヅメント、センター、
これが、私の初夢である。

東京宝塚劇場と
日比谷映画劇場と
それから──
それから──
一イ二ウ三イ四ウ──
五層楼閣甍をつらねて
灯のお城の如くに
五色の灯火は空に輝き
いみじき音楽の絶間もなき──
やがて
浮び出づる蜃気楼。

そのプロローグとして
我等の初舞台
朗らかに
清く
正しく
美しく
我等の宝塚こそ
大衆芸術の陣営
家庭共楽の殿堂
おゝ、我東京宝塚劇場!

日本一
広壮美麗なるこの劇場こそ
国民劇創成の揺籃地として
高尚なるアミユーヅメントの楽園の序幕が
一月一日このよき日を以て
開かれるのである。

私は実に嬉しい!
只だ嬉しいのである。

 そしてこの詩の一節「朗らかに 清く 正しく 美しく」が、宝塚歌劇のモットー「清く 正しく 美しく」や、東宝グループのモットー「朗らかに、清く正しく美しく」の原点となった。