1937年 第一ホテルの設立

ホテル・百貨店
1938年 第一ホテルが開業。

 小林一三は、ゆとりある生活をすることこそが大衆の理想の生活であると考え、より多くの人が楽しめるような仕組みを作ることに力を注ぎました。質を落とすことなくコストを抑える工夫をして、提供価格をできるだけ安く抑え、画期的な発想でさまざまな事業を成功へと導きます。

 昭和初期、ホテルは外国からのお客様と一部の上流階級のための迎賓館のような存在でした。そうした中、第12回オリンピック大会が1940年に東京で開催されることが予定されると、これに向けて一三は東京に出張するビジネスマン用のホテルのアイデアを持ちます。1937年、株式会社第一ホテルが設立され、一三は相談役となります。翌年「第一ホテル」(現、第一ホテル東京)が新橋にオープンしました。

 設計・施行には合理化が優先され、鉄筋コンクリート構造、地上8階、地下1階建ての、装飾を排したスマートな外観が話題を呼びました。和風客室12室を含む626室の規模は「東洋一の客室数」と称されました。全館冷暖房やエレベーター、レストランの厨房や喫茶店などに最新の設備を謳っています。最新式の近代的なホテルでありながら、誰もが宿泊可能な革新的な料金設定によって、ビジネスホテルの魁けとなりました。